書面添付の記載例やメリット、チェックリストのご紹介

書面添付のメリット
書面添付の一番のメリットは税務調査の省略の可能性が高まるということです。
なぜ、税務調査の省略の可能性が高まるのかといいますと、税務署が気になるような点を、書面添付にあらかじめ「○○は○○です」といったように記載するからです。
脱税思考がなく、適正に経理処理をしている会社にとって、税務調査ほど非生産的でムダなことはありません。
また、税務署側から見ても、そのような会社に税務調査をすることは無駄骨となります。
よって、書面添付は会社・税務署の双方にメリットがある制度と言えます。
積極的に書面添付制度を活用していきましょう。
ちなみに、書面添付は会社が作成するものではなく、会計事務所(税理士)が作成します。
よって、脱税思考がなく適正に経理処理をしていると税理士が判断した会社のみ、書面添付の制度を利用できます。
以下に、税理士が書面添付を行うにあたり、どういったことをチェックしているのか?や記載例をご紹介しています。
(ご参考、書面添付の雛形のPDFファイルは国税庁HPの「計算事項等を記載した書面の添付」からダウンロードできます。)
法人税に関する書面添付のチェックリスト
項目 | 内容 |
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売上(収入) | 計算基準・決済基準・入金管理状況により、売上計上の漏れがないか検討・確認しているか。 |
仕入(原価) | 仕入・売上原価について、帳簿等からだけでなく、請求書・領収書等からも確認しているか。 期間損益計算が適正かどうか検討確認しているか。 売上・売上原価について、決算後の売上入金等の検討は行っているか。 売上・仕入・棚卸との整合性についてチェックしているか。 |
棚卸資産(貯蔵品) | 期末在庫の実態を把握し、原始記録等で確認・計上しているか。 |
仕掛品・未成工事 | 期末棚卸資産の評価方法の適正性について検討しているか。 未成工事は、工事台帳により現場別に適正な処理をしているか。 |
給与(報酬) | 各人別の支給一覧を確認しているか(源泉所得税含む)。 支払についてはどのようなチェック体制になっているか。 役員報酬について過大と認められるものはないか検討を行っているか。 |
消耗品費 | 消耗品費について、固定資産の取得に該当するものの有無を請求書等から検討しているか。 |
旅費交通費 | 旅費等に係る清算はどのように行われているのか、また、その帳簿類の保存状況は適正か。 |
福利厚生費 | 福利厚生費について、給与に該当するものはないか。 |
交際費 | 交際費等の隣接科目につき、取引内容を確認・検討しているか。 |
固定資産・修繕費 | 現場を確認し、適正に資本的支出と修繕費に区分して処理しているか。 |
減価償却費 | 内容を検討し、減価償却対象となるか、経費になるかを検討しているか。 特別償却についても検討しているか。 |
固定資産除却損 | 具体的な除却損の内容及び確認をしているか。 |
顕著な増減事項 | 当期における売上の増加・減少及び原価勘定(利益率)の増加・低下の原因を具体的に検討・確認しているか。 顕著な増減のあった勘定科目について、その理由を確認し、その内容を具体的に記載しているか。 |
会計処理方法に変更等があった事項 | なぜ会計処理を変更したのか、どうのような理由から、どのように変更したのか具体的に記載しているか。 |
相談に応じた事項 | 相談に応じた事項及び指導した事項をその状況及びその具体的な内容項目を記載し、かつ、そのてん末まで記載することにより適正指導の結果につながる。 |
総合所見 | 総合所見について記載する。納税者と税理士の関与状況等を記載することにより、税務官公署が納税者のレベルや記帳状況について把握することが可能となる。 |
その他 | 計算し、整理した事項、主な増減事項・会計処理方法の変更等や相談に応じた事項で書ききれない場合やプロセスを開示するなどアピールする欄でもある。 また、項目全般にわたって業務チェックリスト等で確認したことを記載する。 |
法人税の書面添付の記載例
帳簿書類の名称 | 左記の帳簿書類以外の帳簿書類の名称 |
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書類範囲証明書記載のとおり(当税理士事務所保存)。 以下にサンプルを記載 | 契約書類の内、新潟出張所保存分 |
帳簿書類の名称 | 作成記入の基礎となった書類等 |
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依頼者が自らパソコンに入力した仕訳データに基づき、コンピュータ処理により作成した仕訳帳、総勘定元帳、勘定科目残高一覧表(試算表)。 期末整理データのみ当方入力。 | 会計伝票、現金出納帳、銀行帳、証憑書綴り、手形帳、給与台帳、売掛・買掛金集計表、棚卸表、契約書綴り、固定資産台帳 |
区分 | 事項 | 備考 |
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売上高 | 請負契約書および請求書(控)に基づき工事収入の計上時期の確認を行うとともに、作業日報と材料仕入請求書により工事収入および工事原価に計上漏れが無いかを確かめました。 | 請負契約書 売上請求書類 作業日報 |
粗利益率の低下 | 粗利益率の低下については、入札価格の低下と、材料費の高騰によるものであることを現場別工事台帳により確かめました。 | |
外注費 | 請求書、領収書、外注台帳、工事原価台帳により外注額を把握し、翌期分の外注費が当期に計上されていないかを検討しました。 | |
人件費 | 扶養控除等申告書により人員の実在性を確かめました。 | 源泉徴収簿 扶養控除等申告書 |
(1)のうち顕著な増減事項 | 増減理由 |
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役員借入金の増加 | 当期になり完成工事高は増加しましたが、完成工事の大部分を占める民間工事分の支払が全額手形のため、資金繰りが悪化してしまいました。 このため、代表取締役個人から借入をして対処したことから、借入金が増加しました。 なお、その原資は、代表者の生命保険からの借入によるものであることを契約者貸付金明細書により確かめました。 |
役員報酬の減少 | 当期より役員〇名の報酬額を××万円から××万円に変更したこと、および役員〇名が令和〇年〇月に退職したことにより、対前年比で××万円役員報酬が減少しています。 |
従業員給与・賞与の減少 | パートおよびアルバイトの人数を〇月より〇名削減させたことにより、従業員給与・賞与が××万円減少しました。 |
材料費の増加 | 前期比約××百万円の増加は、売上増によるものおよび材料単価の増によるものです。 |
労務費の増加 | 前期比約××百万円の増加は、人員の増加によるもの××百万円、製品検査の高精度化のため人材派遣を採用したことによる増加、雑給××百万円、賞与の増加××百万円が主たる要因であることを確かめました。 |
外注費の増加 | 前期比約××百万円の増加は、一時的な受注増により社内製造で対応できなくなったものを外注したものであることを確かめました。 |
(1)のうち会計処理方法に変更等があった事項 | 変更等の理由 |
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長期前払費用 | 長期平準定期保険料のうち、前払保険料について保険積立金から長期前払費用に科目を訂正しました。 |
工事進行基準の採用 | 今期より期間損益計算の適正化の観点から、期間が1年を超える工事については、工事進行基準を採用しています。 |
システム利用料 | 〇〇〇システムネットに加盟し、システム利用料としての支払が大きくなってきたため、勘定科目を追加しました。 |
事項 | 相談の要旨 |
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持株会の脱退による有価証券の取得 | ㈱A社の持株会に加盟していましたが期中脱退し、累積投資に相当する有価証券を取得し、同時に端株の売却代金が入金となりました。 一連の流れの経理処理について相談を受け、取引明細書より取得した有価証券は「有価証券」勘定に計上し、端末の売却代金と手数料の控除については収益・費用の両建てで処理を行う旨を説明しました。 |
ゴルフ会員権の売却 | 現在所有しているゴルフ会員権を売却したい旨の相談を受け、売却については取引金額を明確にするため会員権取引業者を通じて処分すること、および売却損については雑損失に計上するよう説明しました。 |
債務免除益 | ㈱E社に対する買掛債務について、㈱E社より債権放棄があり、その税務上の取扱い、処理について相談を受けました。 債権放棄を受けた場合、債務免除益として収入に計上すること、債権放棄通知書、議事録等の書類の保存等、税務上の取扱いについて説明しました。 |
5 総合所見 |
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当社は、「中小企業の会計に関する基本要領」に基づき会計処理を行い、決算書を作成しています。 その決算書に基づき作成した申告書も法令の規定に則して作成しました。 日々の取引については、整然かつ明瞭に会計処理されており、原子記録の保存状態も良好です。 また、契約書、請求書等の証拠書類についても、整然と保管されています。 会計組織は適切に確立され内部牽制は機能していると認められます。 取引内容については、毎月の監査時にチェックし、仕訳の誤りがあればその都度指導し修正させています。 また、決算に当たっては、毎月の監査時にチェックし、仕訳の誤りがあればその都度指導し修正させています。 また、決算に当たっては、あらためて全ての損益科目と資産・負債科目について内容を検討しました。 毎月の監査の徹底と日々の記帳の確認および決算補正事項も正しく修正されていること等を勘案して、この申告は妥当であると思われます。 |
6 その他 |
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(1) 当事務所は、TKC全国会認定の「書面添付実践事務所」です。 |
(2) 当事務所は、TKC地域会研修所主催の生涯研修履修事務所です。 |
(3) 当事務所は、依頼者の企業を訪問し、巡回監査を実施しています。 |
(4) 当事務所は、TKC財務会計システムおよび税務情報システムを利用しています。 |
(5) 当該企業は「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請」済みであり、電子帳簿の保存に係る電磁的記録媒体を作成する業務(CD-Rの作成は株式会社TKC)は、当税理士事務所と委託契約を締結しています。 |
(6) その他、当税理士事務所が保存している帳簿書類等は次のとおりです。
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A 計算し、整理した主な事項 | ||
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B 区分 | C 事項 | D 備考 |
減価償却費等 | ①事務用消耗品費・備品消耗品費・修繕費・消耗品費・修繕費(原価)に減価償却資産に該当するものがないか確かめました。 ②除・売却資産の有無を確かめました。 ③償却費計上は〇〇システムを利用して計算し、固定資産台帳と帳簿上の資産種別ごとの取得価額・減価償却累計額が一致しているか確かめました。 ④リース契約内容を確かめました。 | 固定資産台帳 リース契約書 |
消耗品費等 | 消耗品費、修繕費等の中に資本的支出に該当するものがないか確かめました。 | 請求書等により確認したところ該当するものがあったので、その都度資産勘定に計上するよう指導しました。 |
接待交際費 | 旅費・厚生費・会議費・諸会費等、接待交際費の周辺科目について検討した結果、一部が交際費と判断されたので当該費用を交際費に修正するよう指導しました。 また、1人当たり5,000円以下の飲食費および接待飲食費について、区分して処理するように指導しました。 | 請求書 領収書 |
借入金利息 | 期末において、㈱J社から〇〇円の借入金があり、借入金利息を約定に基づき期末に〇円を未払計上しました。 | 金銭消費貸借契約書 |
貸倒損失 | 過年度発生の不渡手形について、対象企業の状況を基に貸倒を計上するもの、不渡手形として残し買取を依頼するものの区別を確認しました。 対象企業が存在せず、回収可能性のないものは貸倒として処理しました。 | |
固定資産売却損 | 車両運搬具の買換えにつき、取得価額および下取り価額を、注文書およびクレジット明細書により確認し、売却損が適正に計上されていることを確かめました。 | 注文書、クレジット明細書 会計伝票 |
雑収入 | マンション防犯カメラ設置件数が前年より増加傾向にあり、各メーカーからの機器購入が増え、リベートが増加しました。 仕入先ごとに入金額とその内容を確かめました。 | |
税額控除 | 当期において取得した機械・装置の取得価額が××万円以上でしたので、措法42の6を適用しました。 適用に当たり、備考欄の資料に基づき対象資産に該当するかを確かめました。 特別償却と税額控除の選択については、社長に説明し確認の上、税額控除を選択しました。 | 見積書 請求書 |
買掛金 | A国からの輸入仕入の内、期末現在未決済となっているものにつき、期末時の為替レートにて円換算しました。 |
消費税に関する書面添付のチェックリスト
項目 | 内容 |
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課税売上高(簡易課税) | 控除・相殺項目についても課税売上として確認・計上しているか。 また、雑収入及び下取りについても課税売上として確認・計上しているか。 |
課税区分(簡易課税) | 簡易課税事業者として適正に事業区分を検討・確認しているか。 |
みなし仕入率(簡易課税) | 原則通りの加重平均で算出しているか。 また、75%ルールとの比較検討をしているか。 |
課税売上・非課税売上(本則課税) | 課税売上、非課税売上、不課税売上及び課税売上割合を確認しているか。 |
課税取引の判定(本則課税) | 紛らわしい取引は証憑類で確認判定しているか。 |
各科目(本則課税) | 誤りの多い科目について、明細書等にて検討・確認しているか。 (交際費・会費・軽油取引税・リサイクル料・ゴルフ利用税等) |
顕著な増減事項 | 課税売上割合の増減等具体的な確認をしているか。 |
会計処理方法に変更等があった事項 | 税込経理方式より税抜経理方式に変更等具体的な内容を記載しいるか。 |
相談に応じた事項 | 改正消費税による簡易課税及び原則課税の判定の説明・指導・計算方法の説明や予定納税のシミュレーション等、納税者が適切な助言によって理解したことや翌期において適切な指導を行っていること等。 |
総合所見 | 総合所見について記載する。 |
その他 | 課税方式や経理処理方式の説明、届出書関係の検討・確認、課税・非課税取引の取引ごとのチェックの検討・確認、帳簿・請求書の保存状況の確認を行っているか。 |
消費税の書面添付の記載例
帳簿書類の名称 | 左記の帳簿書類以外の帳簿書類の名称 |
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書類範囲証明書記載のとおり(当税理士事務所保存)。 以下にサンプルを記載 | 該当なし |
帳簿書類の名称 | 作成記入の基礎となった書類等 |
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依頼者が自らパソコンに入力した仕訳データに基づき、コンピュータ処理により作成した仕訳帳、総勘定元帳、勘定科目残高一覧表(試算表)。 期末整理データのみ当方入力。 | 預金通帳、証憑書綴、給与台帳、請求書控、売掛・買掛金集計表、請求書、納品書、契約書 |
区分 | 事項 | 備考 |
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納税義務 | 基準期間における課税売上高が1,000万円超であることを確かめました。 | 消費税および地方消費税の確定申告書 |
納税義務の判定 | 基準期間における課税売上高は1,000万円以下ですが、特定期間における課税売上高および給与等の支払総額のいずれも1,000万円を超えているため、納税義務が免除されないことを確認しました。 | 給与台帳・源泉徴収簿 |
課税期間の特例 | 「消費税課税期間内特例選択届出書」の提出があり、3か月ごとに申告書が提出されていることを確かめました。 | 消費税課税期間内特例選択届出書 |
控除対象仕入税額 | 基準期間における課税売上高が5,000万円以下であり、「消費税簡易課税制度選択届出書」が提出されていることを確かめ、簡易課税制度を適用しました。 | 消費税簡易課税制度選択届出書 |
みなし仕入率 | 当社は〇〇販売であり、卸売業者である事業者に対する販売は第一種事業、一般の販売は第二種事業と、一つの取引ごとに判定していることを確かめました。 | 勘定科目別の消費税額集計表 |
みなし仕入率 | 平成27年4月1日以後に開始した課税期間より、受取家賃や駐車場収入などの不動産業収入が、第六種事業として計上されていることを確認しました。 | |
みなし仕入率 | 当社は2種類以上の事業を営んでいますが、1種類の事業の売上高が全体の75%以上を占めているので特例計算を適用していることを確かめました。 | |
経理処理 | 当社は消費税の経理処理については、全ての取引について税抜経理方式を適用し、簡易課税制度の適用を受けているので、消費税額の差額を雑収入に算入していることを確かめました。 | |
課税売上高 | 以上により課税売上高は、
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雑収入 | 受取保険金、補助金、受取配当金など対価性のない取引が、課税対象外取引として処理されていることを確認しました。 | |
課税仕入割合 | 当期における課税売上割合が95%以上であるため、課税仕入等の税額は全額控除していることを確かめました。 | |
棚卸資産 | 当期より免税事業者から課税事業者になったので、棚卸資産に係る年度をまたぐ消費税額の調整をしたことを確かめました。 | |
土地・建物 | 土地付建物の新規取得は、土地の取得費は非課税取引および建物は課税取引に区分し処理されていることを、契約書および請求書により確かめました。 | 不動産売買契約書 請求書 |
相殺取引 | 法人の所得金額に影響はないが消費税の計算には影響が生じるので、売上と仕入の相殺、売上代金の振込料の控除額が相殺経理されているか確かめました。 取引先〇〇の売上高は総額で計上され、支払時に材料費が相殺されていることを確かめました。 | 相殺領収書 |
未成工事支出金 | 期首仕掛工事に含まれる内払外注費等の額については、控除対象仕入税額に加算し、期末仕掛工事に含まれる内払外注費等の額については、控除対象仕入税額から減算していることを確かめました。 | 工事現場台帳 請求書 |
交際費 | 香典・祝い金等の慶弔金は課税対象外取引として処理されていることを確かめました。 贈答した商品券は非課税仕入に経理され、その他は全て課税仕入に該当することを確かめました。 | |
生命保険料 法定福利費 | 生命保険料、損害保険料等は、非課税仕入で処理されていることを確かめました。 社会保険料および労働保険料は、非課税で処理されていることを確かめました。 | |
地代・家賃 | 地代および社宅家賃は、非課税仕入で経理されていることを確かめました。 | 不動産賃貸契約書 |
租税公課 | 会費、組合費等は、租税公課勘定で処理し、いわゆる通常会費については、課税対象外取引として処理してあることを確かめました。 |
(1)のうち顕著な増減事項 | 増減理由 |
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課税売上高の増加 売上高に占める割合の変動 | 前期の〇年〇月に小売店舗〇〇を開店し、今期においても店舗を新設したため課税売上高が増加しました。 それに伴い事業別課税売上高に占める第二種事業の割合が高くなりました。 |
還付仕入税額の発生 | 〇年〇月に自社社屋の完成引渡しを受けたので、控除対象仕入税額が増加し、控除不足還付税額が生じました。 |
仕入税額控除の増加 | 当期は完成工事売上額が少ない上、翌期当初に大口の工事が完成するため、控除対象仕入税額〇〇〇円に対し仮受消費税額〇〇〇円と控除対象仕入税額が過大になっています。 |
売上に係る対価の返還 | 貸倒に係る税額〇〇〇円は、前期において不渡手形が発生して手形交換所の取引停止処分となった㈱Kが相当期間、債務超過の状態であったことから、その金銭債権について弁済を受けることができないと認められたため、書面により債務免除した〇〇〇円に係るものです。 |
(1)のうち会計処理方法に変更等があった事項 | 変更等の理由 |
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課税方式の変更 | 当課税期間は基準期間の課税売上高が5,000万円を超えたため、簡易課税の適用がなく、本則課税となりました。 |
簡易課税制度の適用 | 当課税年度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であり、〇年〇月〇日付けで「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していることから、簡易課税と認められました。 |
事項 | 相談の要旨 |
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仕入税額控除の要件を満たさない取引 | 仕入先の特定が難しい取引があると相談を受けたので、仕入税額控除を受けるには仕入取引が記載された関係帳簿類に、次の事項が整然明瞭に記載されていることが必要であると伝えました。
消費税法第30条に規定する仕入税額控除の適用要件に該当しない商品仕入高〇〇〇〇円(内、消費税等〇〇〇円)については、課税対象外取引とすることを指導しました。 |
帳簿および書類の保存期間 | 消費税関係の書類はどのように保存するのか、との相談を受けたので、所定の事項が記載されている帳簿および請求書を7年間保存することになっていると説明しました。 |
課税方式の変更について | 当社は前期の課税売上高が5,000万円を超えていることから、来期から一般課税となる旨伝えたところ、その対応方法を相談されました。 そこで、仕入税額控除要件である帳簿の記載事項、ならびに請求書等の保存義務をあらためて説明しました。 |
5 総合所見 |
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消費税の課税区分および事業区分については、毎月の巡回監査時に取引内容をチェックし、課税区分および事業区分の誤りはその都度指導し修正させています。 また決算に当たっては、TKC財務会計システム/税務情報システムにより消費税申告検討表、勘定科目別の消費税額集計表を作成し、あらためて損益科目と資産・負債科目について検討しました。 以上の結果、提示を受けた帳簿書類の範囲において、消費税課税標準額の算定に関する処理は、事実に基づいて適正に処理されているとの心証を得ました。 |
6 その他 |
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(1) 当事務所は、TKC全国会認定の「書面添付実践事務所」です。 |
(2) 当事務所は、TKC地域会研修所主催の生涯研修履修事務所です。 |
(3) 当事務所は、依頼者の企業を訪問し、巡回監査を実施しています。 |
(4) 当事務所は、TKC財務会計システムおよび税務情報システムを利用しています。 |
(5) 当該企業は「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請」済みであり、電子帳簿の保存に係る電磁的記録媒体を作成する業務(CD-Rの作成は株式会社TKC)は、当税理士事務所と委託契約を締結しています。 |
(6) その他、当税理士事務所が保存している帳簿書類等は次のとおりです。
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A 計算し、整理した主な事項 | ||
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B 区分 | C 事項 | D 備考 |
車両運搬具 | 車両の買換えに際し、支払った自動車税・自動車取得税・自動車重量税が課税対象外取引として、法定検査登録費用および自賠責保険料が非課税取引として処理されている一方、車両の下取価額が課税売上として計上されていることを確認しました。 | 自動車注文書・見積書 |
車両費 | 軽油引取税等の課税対象外取引について、本体価格と区分して経理されていることを確かめました。 車検費用の内容により修理代および車検代行手数料は課税取引、重量税は課税対象外取引、保険料については非課税取引として処理されていることを確かめました。 | |
雑費 | 行政手数料〇〇〇円は非課税取引、現金過不足〇〇円は課税対象外取引としていることを確かめました。 | |
長期破産債権 | 長期破産債権に計上された〇〇〇〇円のうち、貸付金〇〇〇円は課税対象外取引として経理されています。 また、売掛金〇〇〇円(税抜き〇〇〇円)は消費税課税売上に係る貸倒として経理されていることを確かめました。 | 破産決定通知書 |
有価証券 | 〇〇〇の株式売却については、譲渡金額〇〇〇円全額が「有価証券等の譲渡」(譲渡対価の額の5%を、課税売上割合の計算上、分母に算入する)として処理されていることを確かめました。 | |
事業年度の変更 | 当社は従来簡易課税制度の適用を受けてきましたが、期中に大規模な設備投資を行うことが決まったことにより、多額の課税仕入高が発生するとの相談を受けました。 そこで「事業年度の変更」と「簡易課税制度選択不適用届出書」の提出により対応が可能であることを説明したところ、納税者は当該方法を選択するとの意思を表明しました。 | |
課税事業者の選択の時期 | 法人設立登記のみで事業活動を行っていなかった法人が、本事業年度から事業を開始しました。 そこで仕入税額控除の適用の可否について質問を受けました。 それに対して新たに事業を開始した場合には、本課税期間の末日までに「課税事業者選択届出書」を提出すれば選択できるとの説明をしました。 |
書類範囲証明書の記載例
書類の名称 | 冊数 | 備考 | 書類の名称 | 冊数 | 備考 |
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1.各種議事録綴 | 1 | 28.売上見積書控 | X | ||
2.契約書綴 | 2 | 29.売上納品書控 | X | ||
3.決算報告書綴 | 1 | 30.売上請求書控 | 1 | ||
4.一覧式総勘定元帳綴 | 1 | 31.売上領収書控 | 8 | ||
5.補助元帳綴 | 1 | 32.売上日報 | X | ||
6.総合仕訳帳綴 | 1 | 33.売上カード | X | ||
7.現金出納帳 | 1 | 34.商品受払帳 | X | ||
8.レジペーパー綴 | 1 | 35.売上通帳 | X | ||
9.当座勘定出納帳 | X | 36.仕入先元帳 | 3 | ||
10.当座小切手控 | 5 | 37.仕入注文書 | X | ||
11.当座入金控 | X | 38.仕入見積書 | X | ||
12.当座勘定照合表 | 4 | 39.仕入納品書 | 11 | ||
13.普通預金通帳 | 7 | 40.仕入請求書 | 11 | ||
14.その他の預金証書 | 8 | 41.仕入通帳 | X | ||
15.預金残高証明書 | X | 42.外注台帳 | X | ||
16.受取手形記入帳 | 1 | 43.作業(製造・販売)日報 | 4 | ||
17.棚卸表原本 | X | 44.支店(出張所・営業所)日報 | X | ||
18.棚卸表原始記録 | X | 45.源泉徴収関係綴 | 1 | ||
19.固定資産台帳 | X | 46.給与台帳(賃金台帳) | 1 | ||
20.支払手形記入帳 | 1 | 47.一般・請求書綴 | 3 | ||
21.支払手形振出控 | 1 | 48.証憑書綴 | 11 | ||
22.借入金割引手形残高証明書 | X | 49.判取帳 | X | ||
23.借入金手形控 | X | 50.銀行関係書類綴り | 3 | ||
24.得意先元帳 | 4 | 51.保険関係書類綴り | 1 | ||
25.工事台帳 | X | ||||
26.受注台帳 | X | ||||
27.売上注文書 | X | ||||
存在しないものにはX印を記入 |